先輩体験談

私の視界を照らしてくれたベトナム

STUDY ABROAD from KYOTO UNIVERSITY
前野 優花(経済学部/1年生)

【名前】
前野 優花

【学部/学年】
経済学部/1年生

【参加プログラム】
ベトナム国家大学ハノイ校サマープログラム

【留学先】
ベトナム

【留学期間】
2024年9月8日~2024年9月22日

ベトナムでのプログラムに参加して、最も印象的だったのはベトナムの人の開放感です。国ごとに区切って考えるのは時に思い込みを生みますが、やはり生まれ育ってきた土地の風土、文化に国民性が醸成されていくという面は否めないと感じました。初めて入ったフォーのお店で、極めて自然にベトナムの人と相席することになり、Google翻訳を見せ合いながら会話しました。主要なコミュニケーションの手段である言語が通じないにも関わらず、下手したら日本人同士の場合よりも親しくなれたような気がしました。日本で知らない人に話しかけるのを躊躇う時に感じる無言の壁を、ベトナム人からは殆ど感じなかったのです。プログラムで共同発表の準備をした際、ベトナムの友達にコミュニケーションの在り方について色々掘り下げた質問が出来た時もそれを感じました。ベトナム人には、“sharing”の文化があると言います。チームワークを大切にし、周りの人との距離感が近い。ベトナムに来て初めて、日本は清潔すぎるのかもと思いました。物理的にも、人間関係においても。弱みを見せるのを恐れ、自分のことは自分で済ませようとする日本人の国民性が垣間見たような気がしました。異なる文化の中に放り込まれることで、自分の文化について初めてよく見えてくることもある。車窓から外を見やった時、破滅的な台風の被害で玄関まで流れてきた濁流に釣竿を投げ入れたベトナム人の姿が、鮮烈に記憶に焼き付いています。

私は大学にいる間に、できる限り多様な文化に浸ってみたいと思うようになりました。多様な文化を知ることは、人間の、そして私の人生の可能性を知ることだと思います。ベトナムに留学する前は長期的な留学をすることについて踏み切れませんでしたが、帰ってきた今、交換留学する計画を立てています。言語や文化が違っても、私を受け入れて一緒に楽しんでくれる仲間がいる、とっても美味しいご飯がある、と身をもって知ることができたことが大きかったようです。

進路についても、大きな影響を受けました。日本は物質的には豊かですが、ベトナムの方がどことなく生活が豊かであるように感じました。将来は、日本で思い込まれているような「幸せな人間像」だけに囚われることなく、家族や友人と過ごす時間を最大限に楽しみながら、色んな価値観に触れ続けたいと思います。また、日本語学部で将来使うかも分からない日本語を専攻にして一生懸命学習を続けるベトナムの人を見て、大学での学習や、進路の選択で実利的なことにこだわり過ぎないことの魅力も感じました。学問は商売の道具ではない。使うかどうかわからないスペイン語の学習の姿勢も変わりそうです。相手が自分の文化に関心を持ってくれて、この国の言語で話そうとしてくれることがどれだけ私たちを喜ばせ、親近感を沸かせるかを実感したことも関係しているかもしれません。純粋に知ろうとして、理解しようとすること。目的とか意義とかそういうことに囚われない好奇心の働かせ方に、改めて魅せられた気がしました。